雷の牙城/栗栖真理亜
にわかに冷たい風の便り
燃え尽きぬ心(しん)を揺さぶる微かな怒りを持って
銀色に光る雷を振りおろす
あぁ、静まらぬ我が阿修羅が紅黒い焔を身に纏い
柔な嘲笑を叩きつけんとする
鋭く研ぎすまされた痛みが光のように走り抜けた
まるで出口を失った哀しみ
我が心臓を一突きして溶け去った永遠の死
今そこにある幸せすらもロウソクの火のように消えうせてしまう
混ぜこぜにされた感情が行き場を喪い盲目になった
すべてが白く均等に塗り直された瞬間
高く積み挙げられた希望は脆くも崩れ去るだろう
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