pale a ir/ryinx
 
幻のような町にいた どこかで風景が流れる光景を眺めていた 音のない世界だった 時折誰かとすれ違った気がした なにも見ないようにしていた 鳴いている仔猫を見かけた気がする 歩道橋の階段を登り 車の流れる風景を見ていた 人が通り過ぎたような気がした 廃校の扉をくぐり抜けていた 以前は誰かいたのだろう なぜだか少し悪い事をしているような気がした 風が吹いている 誰もいなかった 校舎の正門のガラスには埃がついていて 窓枠も錆びていた そこから校庭を見下ろした 遠くの方にサッカーのゴールがまだある 薄曇りの日だった 瞼を閉じると暗闇のなかに星が流れた気がした 図書室の前に立っていた シャッターは閉じていた
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