欲望の歯車/栗栖真理亜
 
運命の歯車のように廻る車輪
ギシギシと音を立てて銀色の自転車を走らせた
僕の頭の中はただ金の事ばかり

?ムダ使イナンカ、シナキャ良カッタ?
そればかりがまるで僕を責めるかのように鋭く突き刺さる

アレもコレも考えてみれば
僕に必要なモノじゃなかったような気がする
汗水垂らして手に入れた貴重な金と引換に
得たモノからの代償は
失ったモノへの代償に比べて余りにも大きい

それなのに月日が流れてしまえばまた
同じことの繰り返し
『後悔先に立たず』というけれど
僕の先にあるのは惨めな姿しかない
僅かな金額が印字された預金通帳を握り締め
銀行から銀行へと駆けずり廻る僕

あぁ、あぁ、どうしようもなくドンズマリの苦しさよ
僕を責めないで
いつかきっとこの苦境から脱け出してみせるから
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