獄門の紅い糸/栗栖真理亜
 
もし貴方とまた再会出来るチャンスが与えられたとしても
私は他の女みたいに奇声を挙げて
それに飛び付いたりなんかしないわ
余裕の笑みでどんなことでもやり過ごして見せる

だってそんなのもう
私には大した問題ではないんですもの

強がりでも何でもないわ
貴方と出逢えたおかげで
私には恋なんて関係ない
そう思えるようになったの

どうぞ、褪めたスープを召し上がれ
生温い液体をスプーンで掻き混ぜて
ドロドロの感触をご賞味あれ

黄色く濁った半固形の液体が
貴方と私との関係を沼の底へと沈めたとしても
私はちっとも驚かないわ
たとえそれがふたりの運命だとしても


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