幸せな時間/栗栖真理亜
 
休日の昼下がり
柔らかな日溜まり
畳の上に寝転んで昼飯の用意をする母親の鼻歌を聴いている
伴奏はフライパンの上で油の跳ねる音
カチャカチャと木のヘラとフライパンとが重なる音

あぁ、幸せな時間はゆっくりと過ぎてゆく
微かに鼻孔を擽る美味しい匂い
まるで夢見心地に漂って僕を眠気に誘うよ
優しい幻は瞼に溶けて穏やかに魂を包み込む

そう、この時の永遠を祈りながら
密かに
密かに
願いを込めて
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