既存意識の全否定から始めては?/室町 礼
 
日本の財閥の勃興を江戸後期から現在までの
視野で描いた広瀬隆という方の『持丸長者』
という書物をネタにいろいろ書いてきたので
すが、この本、ひとつ欠点がありまして、
日本財閥生成の過程を江戸時代後期から解き
明かしているのですが国内にばかり目がいっ
て、世界という視点から当時の日本を見てい
ない。日本の政治というのは日本の政治じゃ
なく世界の中の日本の政治なんであって、日
本一国の内部ばかり見ていて日本の政治がわ
かるわけがない。ひとつの歯車の動きは成る
程ひとつの動きをしている。そのひとつの動
きをみる限りではどこまでもその動きを精緻
に分析できる。でもそれは全体のシス
[次のページ]
戻る   Point(3)