旅程──一つの残余である夕べ/大町綾音
 
 見上げた時には空があったのだけれど、見下ろした時には視線の先には水たまりだけがあって、すでに空に何があったのかも忘れていた。

 そんな日はわたしもかつての恋なんかを思い出せるようで、ただしそれもなんとか神様に結びつけて救いを求めるかのようで。

 LOTTEとかのいちごチョコを食べたからきっと二人も満腹で、幸せな夢を見ようと河川敷に横になったんだと思う。

 帰ってきたのは思い出だったのかわたしだったのか分からないまま、10キロもの重い荷物を持って歩道にたたずむ。家までまだまだ。

 托鉢僧の偽物が恥知らずに街で集金しているものの、それを責め立てるわけにも行かないと思っているわ
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