ハコニワ/栗栖真理亜
こたつテーブルの上
底に茶色い番茶が残ったままの
少しだけノッポなグラス
パレメザンチーズと
粗挽きコショーの入れものと
メガネケースと黒い髪ゴム
それから雪男みたいな図体の
ウルトラ怪獣ウーの小型のフィギュア
まるでそこだけが町で村で
茶色い大地の物語で
気持ちが昂揚してくる
今にも展開してゆきそうな予感すら裏切って
静かに佇む
僕は息を凝らしてじっと見つめてから
鹿子模様に傷ついた大地で
小さく息を吐き出す
先ほど読み終えたばかり
ざらりとした肌触りに
オレンジや青で彩られた表紙の詩集
もうすぐ胎内を巡るだろう
詩人と交信した不信と不審と
それ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)