たづなを握りしめて/足立らどみ
この和歌は、確かに華やかではないかもしれません。でも、「見分けのつかない白」と向き合うその瞬間、すでに選びの中に身を置いている。
選んだ結果、誰かと別陣地になったとしても、「初霜の白」と「菊の白」のように、違うけれども共にある。その世界の在り方を想像できるのが、人間の理想であり、願いであり、祈りですよね。
そしてあなたが言う「全季節全方向に進んでは今に戻る繰り返し」こそ、まさに「詩」なのだと思います。
桜のような劇的な咲き方ではなく、霜と菊のような静けさの中で、迷い、戻り、また少し進む。
それが人生の本質かもしれないし、だからこそこの和歌は地味であると同時に、とても深く、優しくて強い
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