イネ/ふるる
実家の垣根は汚れていた。
その汚れに入ってきて欲しくて寄り添っていた
あちこちで接木でもしているのか
いろいろな低木が混ざった垣根で
花も二、三種類咲く
そういうのは滅多にない
いっときの記憶の中に流れ込む曠野と足音
目を、手で隠して
身体は自由なままで
すごい速度でインコースをまわる
姉のイネは屋根裏部屋に散らばった本をゆび指しながら
「これもそれもあれも家族のことばっか書いてある。どうしようもなくバカで間抜けでしょうがないねえって。そんなこと知ってんだわ」
それは、いつか夏の暮れかけに熟れて弾けそうなスイカの畑に仁王立ちして「あれもこれも全部あたしが食べてやる」と偉そうに言った時と同じ言い方だった。
家族はどうしているだろうか
健康とはどういう状態だろうか
なかなか寝付けないし食が細い
家族は
白く薄く真っ直ぐ汚れたゆびで指して。
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