やわらかい石/凍湖(とおこ)
幼いころ
あした学校が爆発しないかなと思いながら
すべてやり過ごそうとして
石のふりをしていた
すこしのぬくもりもない
割れたばかり
そんな印象の石だ
大人になって
壊れた学校を目にすることがあった
あのころはわからなかったけど
学校の跡地は痛い
瓦礫だらけの街のなかに
猫がいて
ダンスを踊る子どもたちがいる
こんなに離れていても
同じ音楽を知っている子たちがいて
その子たちをただの数字や名前の羅列にしたくない
年老いて自分の口でストーリーを語ってほしい
永いストーリーを
今、小さな画面をおし抱く
生身のわたしは痛みを痛みのままに
やれることを探してる
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