また冷たくて温かい……/大町綾音
また冷たくて温かい、ここへ、
(たどりついて)(やってきて)(おくられて)しまった……
風の吹き送る桜の花見ごろの花びらのように、
この身はひるがえった。
ここはまた冷たくて、温かい。
暗くて、明るい。
さんかくで、四角で五角形で……
あるいは涙の跡だったのかも。あるいは嵐の後だったのかも。
あ、な、た、は──、いましたか?
兄は姉は、妹は弟は、恋人は、友人たち知人たちは、親戚は……
いましたか? いましたか? いま、した、か?
とてもキラキラしていたから、わたし、見えなくって……
深い水色と、澄んだ緑と、濃いオレンジだったから、
わたしが見えなくなって……そのまま、そのまま、そのまま、そのまま……
ウイテ、タダヨッテイタノ(ソラニ)。
まだ……冷たくて、温かい。
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