「持丸長者」とメディアと久坂葉子/室町 礼
広瀬隆「持丸長者」三部作を読んでいます。
これは膨大な資料を駆使して江戸時代の享保年間
から近現代までの日本の財閥、閨閥、学閥が蔦が
からみあうようにからみあって複雑に増殖する過
程を組織図や関係図の作成をもって明示している
ものですが、最終的にはそういう組織が「侵略戦
争」に至る必然性を解き明かしているつもりだと
著者ご本人はあとがきに書いてらっしゃる。
その著述の中で目を引くのは新聞と紙(パルプ)
の重要性です。日本の新国家は紙とペンから生ま
れたというのです。
広瀬によれば日本の「持丸長者」(資本家)たち
は近代に入るとすぐ新聞と製紙事業の支配に乗り
出した。
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