ホーム・カミング/ホロウ・シカエルボク
 
番いいと思ったってことくらい、生命力を色濃くした植物の匂いがした、車の通りはまだ少なく、空気は澄んでいた、街中にだってそういう時間はあるのだ、一晩中とは言わないが、あまり自分が経験したことの無い時間の中を歩いてみるべきだ、そういう経験をすると、自然に目を凝らしたり耳を澄ましたりすることが出来るようになる、眠れなかった記憶を帳消しにするみたいに俺はこれまでの道を逆に歩き始める、そこに意味はあるのかって?そんなことどうでもいい、大事なのは家に帰ることさ、家か、と俺は歩きながら考える、短い時間とはいえ、熟睡したせいか頭は冴えている、後でとんでもないダメージが来るかもしれないが、とりあえず今は冴えている、
[次のページ]
戻る   Point(1)