破壊/栗栖真理亜
 
僕らの手足は切り取られた
鋭い歯の電動鋸
体もやがてバッサリ切り落とされるだろう
人間達が遊ぶ為の大型の施設が作られるらしい
髪の毛を乱して抵抗するも虚しく
はらはらと散ってゆくだけ

僕らの命はこうも粗末に扱われるのか
僕らの安住の地であるはずの植物園
もう安らかな憩いの地ではなくなりつつある
虚しさと悲しみと悔しさと名残惜しさ
ごちゃ混ぜになりながら
なすすべもなく立ち尽くす

隣では轟音とアスベストの煙を立てながら
資料館だった建物が壊されていく
人間達は皆避けるように
向こう岸へ交差点を渡ってゆく
逃げ場のない僕ら
穢れた空気を吸わされ
体も切り刻ま
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