桜飯/atsuchan69
 
やがて白銀の景色は薄桜に染まり、
雪風は砂風となってアフリカの砂漠へ移り吹く

ぐにゃりとした冷たい肌のやつは、
サハラ西岸の浅海で捕れた後、冷凍されて
TAKO と記された紙箱に詰められ海を渡った

いつしか輪切りにされた淡紅色の蛸が
醤油の香るごはんの緩い傾斜に埋まっている

そうよ、桜飯だぜ

太く、立派な蛸の腕だか足だかを
満開の桜の色に見立てて喰おうってな、
ちょっと粋な寸法よ

今頃きっと、吉野山も花盛りだろう
あいにくとオイラにゃ時間もカネもねえ
せめて近くの公園に仲良しのオメエさんを呼んで
カップ酒をちびりと飲むのが嬉しいぜ

あ、春風にもう桜が散ってるじゃねえかい
世間じゃよう、もう新学期が始まってるんだな、
おっと、蛸飯に桜の花がたくさん。
まるで花飾りみてえに綺麗に舞い落ちた

どうだい、桜飯ってなもんだ
さあ、オメエさんも、喰いねえ 喰いねえ





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