つめたいとかあたたかいとか/そらの珊瑚
銀色のバケツに残された水
明日の朝にはまるい薄氷が張る
そんな冬の楽しみは
氷越しにのぞいてみる
とじこめられた宇宙
あなたのために冷えていました
冬の清涼な日々も
ずっとは続かないということを
バケツの水で悟り
おそらくは自分さえも
変容からは逃れられないことを
なんとはなしに想いました
ふと触れたわたしではないだれかの手の温度で
知る
つめたいとか
あたたかいとか
ひとりでは知ることのできない自分をさしだす
あなたのためにあたためていました
って言ってください
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