さみしさの封蝋/
海
小さく丸まった背中に
触れようとして
手をのばせなかった
盆の季節までさようなら
しわしわの笑顔で
手を振る人
何度も振り返って
手を振ると
小さくなった姿が
まだ手を振っていた
今度いつ会えるだろう
しわしわの手が渡してくれた
赤飯と蜜柑
胃におさめて
まだ温もりの残る包みを
片付けてしまうと
しばらくの間
忘れてしまうだろうことに
さみしさの封蝋を押す
あっという間に
赤く柔らかな蝋が
固まり閉ざし
頭の中は明日からの雑多に
塗れていく
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