風はなにいろ、こはくいろ。/リつ
 
風は何色、琥珀色


薔薇色ならば、あかつきの風
アウローラの裳裾
ながくたなびき開けようとする空
いちめんに染めゆく朝まだき
遠い予感をはらんで吹く風の色


風は何色、琥珀色

オレンジならば夕陽
荘厳に暮れなずむ太陽の御挨拶
ゆうやけこやけで帰りゆく瞬き
震えながら抱き締めた片道切符のゆくえ
寂しくも暖かな問わず語りの風の色


風は何色、琥珀色

天鵞絨の紺は夜間飛行
妖しく誘う食虫花
最も危険な甘さをひとり超えゆく夜の海
あの灯台がある限りは大丈夫
たったひとつの光を目指して飛ぶ鳥の色
ちいさな風切り羽根がきりさく音だけが聴こえる

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