亀の背に乗って帰る。/田中宏輔
ぼくのチンポコは、35歳になっても3センチだ。
(勃起したら、5センチにはなる。)
カタサだったら、だれにも負けないけどね。
でも、それが、何の役に立つと言うんだろう。
毀れよ、と言えば、毀れる波頭。
ガムをくれるように簡単に言える。
そんな、きみが、うらやましい。
ハコベ、メヒシバ、オオアレチノギク。
いつか、小説を書こうとして
高野川で採取した植物たち。
花なしの緑いろ。
オオイヌノフグリもあったっけ。
手にとると、すっかり、砂になる
蟹の子ら。
あの夏の日のセミの声も、蜘蛛の巣に捕らえられた。
(風の日に、ちぎれ飛ぶ、ちぎれた蜘蛛の巣に)
その日、ぼくのレモ
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