幻影の城/栗栖真理亜
幻想(ゆめ)ばかり追いかける君は
君の周りではしゃぎ回るカゲロウを用意周到な網で捕まえては
荒れ狂う波の中へと沈めるけれど
あからさまに眩しすぎる人工の灯りが君の心に暗い陰を残し
やがて、絶望の渦へと駆り立ててゆくんだ
下腹部の熱くたぎるような、うねりとは裏腹に
冷めた鉄のような冷酷さが君を苦しめて離さない
君はいつでも持ち前の笑顔とリップサービスとを絶やすことなく
妖艶なニンフェット達に淫らな戯れ事を囁きかけているけれど
君の奥に潜む微かな声が大きく首を振りながら
ズタズタに裂けた心の手綱を引き締めている
あぁ、幻想の庭は跡形も無くなり
ただ、虚しさだけが隙間
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