六月の二人/
嘉野千尋
雨が降る日曜日の午後
雨宿りをした金木犀の木の下で
電線に連なって揺れる雫を見ていた
耐えるように震えながら
世界を逆さまに映した雫が静かに落ちる
君はその小さな球体のなかに
寄り添う僕らの姿を見たのかもしれない
さよならがうまく言えない僕らは
抱き合ってまた雨に濡れた
戻る
編
削
Point
(13)