六月の二人/嘉野千尋
 


  雨が降る日曜日の午後
  雨宿りをした金木犀の木の下で
  電線に連なって揺れる雫を見ていた
  耐えるように震えながら
  世界を逆さまに映した雫が静かに落ちる
  君はその小さな球体のなかに
  寄り添う僕らの姿を見たのかもしれない
  さよならがうまく言えない僕らは
  抱き合ってまた雨に濡れた

  


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