虚空の檻/栗栖真理亜
?思いやり?という旗を振りながら
ヒトの心を泥の付いた靴で踏みにじり
薄ら笑いを浮かべてる
青白い陰が不気味に揺らめきながら
僕の周りを取り囲むよ
どんなに
逃げても、
逃げても、
追いかけてくるんだ
やがて僕は深い穴の底にじっと身を潜めるけれど
暗闇は僕の心を冷たく凍らせて
身動きすらできなくする
ああ、お前はなんてばか者なんだろう!!
自分で自分を責めて雁字搦めに縛り付ければ
お前はいいと思っているのか!!
人肌の温かさなど期待せずに
ただ自分だけを見つめていればいいものを・・・
自問自答の末にふと上を見上げると
白目向いた空があざ笑っている
僕は穴から抜け出して
不気味な陰に身を任せた・・・
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