それ、知性ではないですよ?/室町 礼
 

れそうだぞ。
呼び鈴を押すと、重い扉が開かれ血色の
良い、日焼けした肥満体の神父が眼鏡を
ぎらぎら反射させながら現れました。か
れはわたしが「あのう、朝日新聞の.....」
といったところですぐさま新聞の勧誘と
見抜いたらしく、ものも言わずに分厚い
頑強な扉を轟音が響くほどのすさまじい
勢いで閉めたのです。あやうく飛び退く
ほどの危険な閉め方でした。
あ、も、う、も言わせてくれない。問答
無用のキャンセルです。清らかさと、繊
細な美と、神聖な哲理に浸っている彼ら
にとっては、悪魔のような訪問者だった
のかもしれません。
会う前にはしめしめと甘い妄想を抱いて

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