雪/201
 
の中でもう一度その音を繰り返してみる。
それから辺りを見渡すと、確かに納得のいく光景だった。

「あれは花だよ」

小さな目が初めてこちらを向いたような気がした。
ただこっちに向けたというだけで、何も見えていないことがよく分かる。

「春が終わるんだ」

かわいそうに、君は今日死ぬと思ってここへ来たんだね。
本当に言いたかったことは、あまりに悲しくて言えなかった。
ひらひら、ひらひら、花びらがたくさん降って来る。

「いいね、花は。きれいで」

もう少ししたら、里まで送り届けよう。
父さんや母さんは里の人に殺されたけど、自分はそんなへまをしない。
ちゃんと神様になることができる。

その食べ物に手を付けるのはおやめ、となんとなく制すると、
子どもらしい素直さで体を竦めていた。

しばらく呆けた後、自分に何も起きないことが分かったのか、
嬉しそうに、子どもは笑って言った。

「きれい」
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