雪/201
これといって何の変哲もない少女だった。
罪を犯したことをあかす印があるとか、
飛びぬけて美しいとか、親兄弟が無さそうな風体だとか、
なんにもなかった。
だから、なぜ自分のご飯と一緒に今日は人間が供えてあるのか、
しばらく考えることになってしまった。
多分名前があるのだろうけど、聞くのも忍びない。
りんごを齧りながら、バナナを剥きながら、ぶどうをもぎながら、
その子がずっと虚空を見上げているのを眺めていた。
視線の辺りにはうっそうと生い茂った木々の枝があって、
月がどこにあるかもよく分からない。
「雪?」
不意に、女の子は口を開いた。
ゆき、と頭の中
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