街をそだてる/はるな
 

封筒のなかで
街をそだてる
来る日も来る日も
細かくしたえさを与えて

ある春に
耐えがたい眠気に襲われるまま
5年も、6年も
あるいは500年も眠ってしまった

春は何度もやってきて
わたしにできないことをした

そして街は全てを飲み込んで
巨大な夢になったのだ
雨も降るし、花も降る
水は流れつづけ
わたしの手には封筒が残る

そして望んでいたことを
忘れながら
だんだんと
醒めていく



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