憂いの風/栗栖真理亜
 
冷たい風が私の頬を荒々しく撫でてゆく
川の畔で鴨の群れが寒そうに身体を縮こませながら休んでいる

嗚呼、こんなにも明るい日差しが地上を照らしているというのに
鮮やかな色も今は褪せ
凍りつくような空虚が景色のなかを漂っている
禍と孤独の使者が誰かの肩を叩くように
カタカタと音を立て不吉な預言を唱えながら・・・

どうか
どうか
凶険な風よ
これ以上、哀しみの涙を流させないでおくれ
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