どうせすべては塵になるから/ホロウ・シカエルボク
 
ぶんとさもしい考え方だね、と笑って返すだけだ、なにか革新的なやり方を発明したいわけでもない、それは、書きたいものを持っていなくても出来ることだからだ、なぜ書くのか、それはつまり、鏡に自分の姿を映すように、自分の心を映すものが欲しいというだけのことなんだよ―だから俺は、出来事や感情のすべてに付箋をつけて、そいつらを事細かく解きほぐしていくんだ、それは絶対に必要なことなのさ、遊んでいる暇なんてないよ、頭の中では常に、目に映るものが分解されて並べられている、部品は組み方次第で調子が良くなったり悪くなったりする、ミリ単位での調整が必要になる、どこにどんな力をかけるのか、どことどこでボルトを締めればいいのか
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