喉をほどく/中沢人鳥
 
山羊の鞣した皮で喉を塞いだ?
煙を満たした甲状腺から溢れるホルモン?
止める術を知らない?
零れていく気概を?
必死に受け止めようとする粘膜は?
決して何らの暗喩ではない?
ありありと起こる出来事を?
そのままの感触で食べてしまうと?
指先から腐食していくようだ?
だが、まだ指は生きている?
整った爪先が自然に綻んでゆくことを?
老いる、と呼ぶならば結局?
老いているようでまだ青い
眼の反射で見ていた?
光の輪郭だけを頼りに?
脈打つ器官の揺らぎを計る?
硝子の向こうで乾いた風が?
軋むように喉を鳴らす?
その音はやがて波紋となり
肌に染み込んでゆく
言葉よ
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