「強さ」の研究/室町 礼
 
来る範囲で有り金を施設に置いていけばいのです。
あるいは無償の労働を提供すればいい。炊事洗濯掃除。よほど子どもたち
から感謝される。
ところが社会的に恵まれない、社会的な範疇での「弱者」でしかないのに
子どもたちの存在自体が「弱者」とみなし思想的、哲学的に近づこうとして
いるこの二人、
これがわたしにはとうてい理解できない。
なぜ「強い存在」である自らは研究の対象外なんでしょう?
おそらくそんなこと(「強い存在」である意識)は前提であり当然すぎるほど
あたりまえのことだから自覚されず胸の奥にしまわれているのでしょう。
わたしがこの本を手にとってなぜ震えを覚えたかというと彼らが
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