「強さ」の研究/室町 礼
図書館で
タイトルがふと気になり
なにげに一冊の本を棚から抜いてひらいた。
ひらいた瞬間、なめくじのような、
ぬるっとしたものが、
べちゃっと左の手のひらに滑り落ち、
手首の血管の上をはって
袖のなかに潜り込もうとする気配を
感じた。
ただの「感じ」にすぎないのだが
悪寒のようなものが身体をつらぬき
とっさに本棚に返した。
しかし、やはり気になる。
おそるおそるもう一度、
眉をしかめ、
震える指先で本を手にとった。
『弱さの思想』
副題が「たそがれを抱きしめる」とあった。
著者は高橋源一郎+辻信一とある。
これはいけないものを見てしまったと後悔した。
しかし
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