フィリア・フォビア/凪目
 
ですみずみ照らし尽くす
ゆっくりとした長いまばたき
すべてを溶かして這い出る雨
いずれ光って消える肉の切れ端

人は人だった
場所は場所で
物は物

どう焦げてる
明るいほうへ手をのばそうとしたよ
空をまさぐって 絡まった糸をひきちぎって 空が見られると思って 落下と上昇に境目がなくなっていった
季節は真夏
または常闇
さようなら
こんにちは
また会ったよね
ここからもあれが見えたよ
こどもが砂をこぼしながら
ひとり寝床へ帰っていくとこ
隠し持った消し炭のひとすくい
今 精一杯ばらまいた
夜の庭で
羽を震わせて
腹をかかえて
消えちまえばいいと笑っていた
ぼくの背中は真っ黒い
こどもの手形にまみれている
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