不具/異形/岡部淳太郎
俺はどうやら異形の者になってしまったようだ
俺の不具の左腕は
不自然なかたちで捻れている
その苦痛とともに 無理矢理
腕を正常な位置に戻そうとしていると
俺は俺の異形を否応なく感じざるをえない
真冬の新月が不気味に空に架かると
すべてのありえたこと
ありえなかったであろうことが
この世に現出する
ありえない不定形の獣や
この世のものでないような
奇妙に捻れたまま伸びる樹木
それら冒涜的な足音を立てようとするものたちも
その異形性とともに
俺の不具に接続するのだ
真夜中に
それらの苦悶のような
呪詛のような声が聞こえてくると
それは俺の不具と響き合っ
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