Hostage/ホロウ・シカエルボク
 

酷い火傷の様な深く疼く痛み、その痛みの上に無数の言葉をばら撒いて膿を解いた、あちこちで蠢く蛆虫の様な思念が、敵なのか味方なのか判別出来なかった、俺もまたそんな、薄気味の悪い境界線の上で歩みを続けているせいだった、焦げた血液の様な臭いがした、もちろん、そんなものの臭いなど嗅いだことはないが―そう形容する以外どんな言葉も無いような臭いだった、あらゆる感覚は寄生虫のようにだらしなくぶら下がっていた、どんな蓄積も役に立たない瞬間というものは必ずある、また、そういう思いをしなければ思い出すことは出来ない、生き続けてきた理由がなんであったか…俺はいつまで経っても悍ましい肉塊であり、貪欲な根源を抑え込み続け
[次のページ]
戻る   Point(3)