染み/魚骨堂
深い深い闇の中
銀細工の触手は侵食する
私の心を
または灰色に死んだ浜辺を
その時君はジョナサンのテーブルに座って
今日何度目かのため息を
キャスターの甘い香りと共に吐き出している
ぞわぞわと体中に広がる
アメーバのような見えない月明かり
足元の砂は私を飲み込もうと蠢く
私は私を捨てて 儚い暗黒を漂う
あるいは夜と交わる
灯台の明かりの逃げたほうに
朝のかけらが染みを作った
手を伸ばして染みのあたりをもぎ取ると
君の吐き出したキャスターの煙が
目の前に浮かんでいた
私は私に戻るつもり
でも今はそのときではない
気がつけば銀細工の涙が
落ちたまま
海にさえ拒まれていた
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