3月初めのメモ/由比良 倖
地よくて、空白の形に僕は自らを投影していく。だから人を好きになることはいつも思い込みなんだけど、でも、言うに言われぬ言葉を隠し持った人に惹かれないなんていうことがあり得る? いつも相手の言葉を予測しては、どきどきしている。そして相手はいつも予想を超える。何故ならもちろん相手は僕じゃないから。予定調和的な関係には耐えられない。退屈過ぎて死んでしまいそうで。
そろそろコーラが冷えてる。宇宙の果てに僕がいても、僕が日本語を書いてて、コーラはちゃんと冷えているのは、とても不思議なこと。自分はここにいないのに、この世界は僕抜きで、きちんと透明の向こう側で、いつも通り、予想通り、動いてる。でも予想通り、
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