こだま/海
こだま三郎は盗人だ。盗みに入る家人に扮装しては金目のものを盗んでいた。盗みに入られた村の者たちはこだま三郎を恨み殺害を企てた。こだま三郎を捕えるべく村のあちらこちらに落とし穴を作った。ある日ドサっと音がして村人が音の方へ駆けつけると落とし穴に誰かが落ちていた。続々と村人たちが集まって落とし穴を覗いた。「こだま三郎か?」村人の一人が訊ねると落とし穴の中から「こだま三郎か?」と返ってきた。村人が何かを言う度にオウム返しされて埒が明かなかった。村人が全員揃っているのを確認して、落とし穴にいるのはこだま三郎だろうと判断した。村人たちはこのまま落とし穴を埋めることにした。土を落とし穴に放り込む度に「ドサッ」
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