卒業/
たもつ
朝が沈黙している
少し開かれた窓辺の片隅で
その隙間から海に似たものたちが
ぼつり
ぽつり
と入り込んでは
満たそうとしている
出会ったばかりの幼子は
「さようなら」という言葉を知らない
どこかにある水平線の遠さを知らない
僕はもう漂わない波音の
聞こえてくる方へと
卒業し始めている
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