ともし火/そらの珊瑚
 
くさむらのうらぶれた浅瀬
打ち上げられたほおづきの中の
丸い実が
あかあかと
燃えながら
わたしを見ていた
緑だった容れ物の
もはや若さはぬけおち
朽ちた葉脈だけになって
身のうちを透けさせている

風はとうめいな波
黒い鳥たちは時をわたる舟
(まわりみちもしないでえらいね)

ゆうぐれがくずれおち
夜が満ちてくるまでの
なまえを忘れていくじかん
だれのものでもないじぶん


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