毒薬と娼婦/
栗栖真理亜
何ひとつ残されていない
苦い思い出以外は
幸せそうな微笑みからはすべて目を逸らして
無関係だと空虚な胸を張る
白い目をした人々が薄ら笑いやこけ脅した眼差しで私を見る
ああ!ああ!私は生きた心地がしない
どうか私に毒薬を一瓶ください
私は震える手でびんの蓋を開け
素早く紫色した唇から渇いて干からびた喉元へと
液体を流し込むだろう
流し込まれた液体は体の隅々へといきわたり
媚態と偽りに塗れた空虚な心を満たすだろう
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