NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『テオと猫ガミ』全/?任勇梓 Takatoh Yuji
と交はつてゐるが、テオは蚤を伝染されないやう、少し距離を置いてゐる。蚤取り粉をかけられるなんて、眞つぴらご免だ。
と、先程の「迷ひ猫」、らしき猫を、見た。サバトラで両目の上にお公家さんの眉毛みたいなぽつちの模様がある- 見間違ひは、まづない。思ひ切つて、聲を掛けて(勿論猫語で)みた。
「きみきみ、家出したの? ご家族の方が心配してゐるよ」
だがその猫、「?」と不思議さうな顔で、一向にテオの「思ひ遣り」に、関心を向ける素振りもない。「とぼけてゐる、のかなあ。家に帰りたくない理由でもあるのか」
その日は、それつ切りとなつた。
事務所に帰ると、涙ぐみながら、主婦と覺しき女が、玄
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