四角い空の下/快晴
摩天楼の隙間から
太陽の光が降り注ぐ
しばらく闇に棲んでいたから
容赦のない太陽にさらされて
思わず猫のように目を細め
心までも裸にされたような気分
私が裸であることに誰かが気付き
そこらで笑っていやしないかと
きょろきょろ周りを見てみても
誰も私に注意を払ってはいなかった
それが少し寂しいような
世界から解き放たれたような
不思議な感覚 浮遊感
まるで点滴を打つように
耳にイヤホンを差し込んで
渋谷の街を歩いていると
世界はまるで無声映画
道行く名の無いエキストラ
そして私は傍観者という名の神になる
行き交う人々の
幸せそうな顔を眺めては
寂しさをきつく噛み千切り
そこから流れ出した赤い血が
いつの間にか凝固して
宛先のない詩(うた)になる
それから私は吸いかけの煙草を
行き場のない苛立ちと共にもみ消して
来るあてのない誰かをただ待ち続ける
いつもの見飽きた四角い空の下
戻る 編 削 Point(2)