幻身についての序論/森 真察人
 
く事情が異なる
しかるに鏡像とあなたの網膜にうつされた僕の精神像とは補完関係にありあなたの網膜を通すことで僕ははじめて僕の精神の美しさと情緒とを視ることができる
しかしあなたの眼を視てはならない、それはあなたの網膜を僕の網膜でもって把えようとすること、いわば途方もない?捩れ?の反復による円筒に溺没(できぼつ)し、投身へと至る混沌に限りなく近づくことだからだ
鏡像と網膜上の像との周縁としての虚像には出来る限り出会わぬことだ、望ましくは?捩れ?をほとんど垂直に視、楽譜に起こすことだ
情緒を視ること、これは顔面に囲われた両の網膜の鏡像を視ることであり一切の事情がひときわ大きく脈打つ瞬間にほ
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