道/岡部淳太郎
 
ぶやく
そして人は すべての良い子が迷子となるこの道で
歩くことを すべることに限りなく近づけて
自らが忘れ得ぬ恐怖となるために 歌う
出会う度に怪しく輝く
夜を徹しての謎めぐり
――私たちを、推理せよ。

今夜 幽霊たちは静かに覚醒している
この道の上にはまだ数えきれないほどの謎があり
その前途で眼は開かれている
終らずに
つづく 曲りくねる道
その恐怖の途上に
私はひとつずつ 石を置く



連作「夜、幽霊がすべっていった……」

[グループ]
戻る   Point(3)