生物/栗栖真理亜
大きく息を吸って吐き出す
なまあたたかな
何だか嫌な匂いが鼻についた
顔を背けて息を止めたら
何だか時間まで止まったように感じた
こたつの上に置かれたティッシュを乱暴に引き抜いて
思い切りチンっと噛んだらまるでピエロみたいだ
真っ赤な鼻をつけたピエロは
薄汚れた窓の外へ思いを投げ飛ばす
丸めたティッシュをゴミ箱へ放り投げるみたいに
窓の外では桜の花が落ちて
眩いばかりの青葉ばかりがカサカサと音を立てる
頭の芯がジンと熱くなってもう一度息を吸って吐いたら
ぐにゃりと捩れた生物を噛み締めてる味がした
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