NWSF怪畸幻想ロマン 斬魔屋カンテラ!!『春一番が吹く迄』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
〈春一を待てば泡立つ心哉 涙次〉
【?】
カンテラは外殻(ランタン=カンテラ。カンテラはそこに巣食ふ火焔のスピリットである)を、安保さんの許に、オーヴァホールに出してゐた。たまに點検しないと、何せ年代物である、何処に不良箇所があるか、分かつたものではない。
「結局ビス何本か取り換へたゞけで濟んだよ」安保さん、特に異常は認められなかつた、と云う。
「だうもお世話様。これ、謝礼です」「いつも惡いね」「いやそれだけの価値はあります」それすらも、いつもの會話。カンテラは何だか疲れを感じた。
カンテラ、「暫く籠もる」とだけ云ひ殘して、外殻の中に這ひ入つた。明かりは燈らない。カン
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