メモ(蹴り上げる)/はるな
 
いつか許せる、と言った口を蹴り上げる。いつも時間がこまかい刃を持っていてちりちり削っていく、形がかわっていく。たしかにわたしはいくつもの呪いをかけたと思う。うすべったくて温かい呪いだ。それはとっくにわたしになった。削れるしかないと思いますか?わたしはそう思います。

高価で、美しいバレンタインのチョコレートって、それ以外の味がする。複雑で、混乱しそうな。(いつか許せる)、という呪い、夕飯用の菜が煮えるのを見ながら、気を抜くと立ったまま眠ってしまう。
生活がある。愛があるし、音楽がある。ケーキを焼いて、本を読む、わたしの(わたしたちの)部屋のなかでは、いつもどこかで植物が枯れている。


[次のページ]
戻る   Point(5)