年月など関係ない、人もモノもただそこに存在しているだけなのさ/ホロウ・シカエルボク
 
時間くらい歩かないと辿り着けないところばかりさ、まあ、それでもないよりは全然いいんだけど―昔の人はたくさん本を読んでいたよな、今の人たちがスマホを見てるような場面ではだいたい読書していた、ゼロ・ゼネレーションだの村上春樹だの面白い動きがたくさんあった、みんなそれを自分で選ぶことが出来た、今じゃ朗読してもらった小説をイヤホンで聞くらしいね、正直俺はそんなものを聞いたことがないしこれから聞く予定も無いからそれがどういうものかなんてまるで理解出来ないんだけれど、でもなんだろうね、それは読書じゃないぜ、寝物語に絵本を読んでもらってるようなものだ、文字列を目で追いかけて、イメージして、ページを捲ることが大切なのさ、そこには自分のリズム、自分のイメージってもんがあるだろ…世界はどこまで過保護になって、省略され尽くしたものだらけになって行くんだろうね、イマジネイションなんて過去の遺物になってしまったよ、時代について行けない年寄りの戯言だって?そんなステレオタイプな言葉で片付けるのも結構だけれど、でも俺に言わせればそんなのただの逃げだと思うぜ…。


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