1月の日記/由比良 倖
 
るのではなく、疲れてしまう文章は、本当は良くないのかもしれない。でも、どうしても書いておきたかった。



1月12日(日)、
 今日はここ四年間で、一番たくさん書いた。打鍵数を記録するソフトを使っているから分かる。多分、産まれてから、一番多く言葉を書いた日だと思う。まるまる二十四時間絶え間なく文章を書いていた。
 けれど、人に見せられるような言葉は多分、ひと文字も書けてない。キーを叩くことに、心を込められていないからだ。ただロボットになったみたいに、感情の稀薄な検死官が、複雑に損傷した死体について冷静に記述するみたいに、無表情にキーボードの上で指を動かし続けていた。それだけ。


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